会社を倒産させるという事

35歳で会社を倒産させた壮絶な日々を赤裸々に綴ります。

2.迷い

続きを書きます。

一応あらすじというか、僕は不動産会社の社長だった。

簡単に言えば土地を仕入れて売る仕事。

仲介もやっていた。

今倒産を考えている社長さん達の少しでも役にたてばと思い書き始めました。

まわりは敵しかいない。そんな心境だと思います。

何を信じていいかわからない。

そんな時に僕も多くの実体験をされた方のブログに勇気と情報をもらいました。

でも、本当にやばい倒産の仕方をした人はブログなんかに書けないかもしれない。

僕も1年間書く気持ちの余裕もなければ、書いたらやばい気がした。

なぜかというと、ネットで調べる多くには、「債権者集会に債権者は来ませんでした。」

と、ありました。

 

僕の第一回債権者集会は・・・

10人の債権者が来て罵声が飛んでました。

 

 

僕が倒産を意識し始めたのは2013年の夏ごろ。

まわりの同業者は誰もが儲かっている会社だと思っていた。

それは間違いない。。。

それもそのはず、僕は毎晩飲みにも行っていたし色んな人たちと交流した。

Facebookにも芸能人と遊んでいる写真をUPしたり。。。

今考えるとヤケ酒かな。

 

このまま行くと正月が越せない!

 

これを感じていたのは社長の僕だけ。

僕の会社の経営状態を知っているのは僕だけだから。

税理士は知っているけど呑気なもんだった。

「○○社長の手腕なら大丈夫ですよ!」と、言っていた。

正直、本気で言っているのか耳を疑った。

 

夏が終わる頃には、色々な支払いに滞りがでてきてしまった。

建築費、広告費、車のローン等々

電話が頻繁にかかってくる事が多くなり、事務の子も心配していたけど社員の給料は意地でも遅れることなく支払った。

僕自身もサラリーマン時代に嫌な思いをしたからだ。

特に建築費が重かった。

1回に200万円だの500万円だのの金額を支払う期日がきてしまう。

入金が途絶えてきてしまう。払うお金がない。

このころの僕にはお金を貸してくれる人が何人かいた。

600万円借りたり、2000万円借りたりしながらなんとかやりくりしていた。

「色んなことを夢見た社長業もこれが現実か。。。」

毎日こんな事を考えていた。

借りたお金で急場を凌ぐと、今度はどうやって返済するかという魔のサイクルに襲われることになる。

しかも急場だったので、利息は1ヶ月で最低でも10%で借りていた。

毎月毎月これを繰り返していくと、すぐに限界はきてしまう。

それはさすがに僕にもわかってはいたが、もうどうしようもない。

売ってお金になる在庫も少ない。。。

そもそも在庫全部売り切っても返しきれない。。。

取り急ぎ3000万円必要だ。。。もう待てない。。。いや、待たせられない。。。

 

毎日泣いたり怒ったり、頭抱えては苦しむ日々でした。

自殺する経営者の気持ちもよくわかる。

本当にそう思いました。

 

なんとか気持ちを入れ替えてみる。

経営者やれば誰もがピンチを通り抜けている。僕もそうだ。

会社の残高が1000円切った事が何回あったか?

3年間で売上10億までしたとはいえ、僕はもともと300万円だけ握りしめて始めた会社だ。

たった一人で。

最初からきつかった。

残高1000円切っても簡単には諦めなかった。

 

今回はきつい。。。

もう終わりか。。。

毎日葛藤の日々だった。

 

そんな時に、勝負所がやってきた!

仕入れ値5億の案件。

机上の計算で利益8000万円ほど。

 

これはいけるぞ!

心の中でガッツポーズ!

久しぶりに生気がみなぎってきた!

 

一応補足しますが、会社に全然お金がなくてどうやって5億もの買い物するんだと思われるかもしれませんが、不動産担保に借入れをして返済をしている実績だけは良かったのです。

だからこの状況下でも借入おこして買えたんです。

手付金1000万円ならなんとかなりそうだし、金融機関も貸してくれる太鼓判を押してくれた!

これで販売した手付金でなんとか運転資金をまかなえる。

すべてのお膳立ては完成した。

 

このプロジェクトに全てを掛けた!

 

とはいえ、会社の懐事情はそのときも火の車状態。

毎日督促の電話が鳴りっぱなし。

会社にも取り立てばかり。

このプロジェクトを壊すわけにはいかなかったので、僕は誰にもしゃべらなかった。

狭い業界だから邪魔が入ったらシャレにならない。

我慢。我慢。我慢。我慢。我慢。ひたすら我慢。

罵声を浴びせられても、胸ぐらつかまれても。

 

僕は一人で心に決めた。

今でも忘れもしない、夜中にその現場の前でずっと考えて。

 

このプロジェクトが出来なければ会社をたたもうと。

 

結果を言うと、出来なかった。

この業界には談合じみたところがある。

言わば出来レース

今回も取引先といくらなら買えるというのを散々話していたから、もう買える確信をしていた。

取引先から言われた言葉は「某大手デベロッパーが2000万円差をつけて買いました。」と。

頭が真っ白になった。

僕は勝負に負けた。

思いっきり泣いた。

その晩はなけなしのお金握りしめて朝まで酒を飲んだ。

こんな姿を迷惑掛けてる人達に見られたら殺されるんじゃないかと思いながらも、むしろそうしてくれとまで考えた。

 

そうして僕は決めた。

自分との約束を守ろう。

 

僕の会社は倒産します。

 

僕は迷いを吹っ切り、会社をたたむ準備をする事にした。

 

ちなみに書いている内容は記憶を元に書いてます。

当時メモなんかしてません。そんな余裕ありません。

本当の気持ちを誰にも言えない状況だからメモなんか残せません。怖くて。

でも、経験者ならわかると思いますが、忘れたくても忘れられないので簡単に記憶が戻ります。

ここに書く内容よりも実際の日々はもっときつい精神状態であった事だけ付け加えさせて頂いて本日は終了します。