会社を倒産させるという事

35歳で会社を倒産させた壮絶な日々を赤裸々に綴ります。

4.会社設立から倒産までの軌跡 ~計画と現実~

僕は不動産業を開業するにあたり300万円で余裕だと考えていた。

最初は自分ひとりとフルコミッションの人間使ってやるつもりでいたから。

何回も綿密に計算していた。

今考えるとものすごいザル計算だ。

 

会社登記・・・・・約25万円

事務所費用・・・約50万円

不動産免許・・・約160万円

設備費用等・・・約35万円

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合計       約270万円

残金         +30万円

 

※残った30万円は予備費

 

若さゆえの過ちだろうか。

机上の計算ではこれで成り立つのだ。

経営者の経験がおありの方は気付くだろう。

大きな過ちに。

 

4月まではあっという間だ。

どんどん準備を進めよう!

意気揚々と進めていた。

 

会社を作る流れは既に色々調べたり、K取締役やM社長に教えてもらったりしていた。

 

まずは会社の事務所からだ!

 

場所はもう決めていた。

とびきり好きな場所があったのだ。

国民的アニメの舞台の地(わかってしまいそうな・・・)

そこで探し回った。

 

毎日楽しくてしょうがなかった!

日に日に着実に僕は夢に近づいているのだ!

社長!って呼ばれても最初は気付かないフリをしようとか勝手に妄想ばかり先走っていた。

 

売買しかやったことがないとはいえ僕は不動産屋だ。

不動産業ができる事務所を見つけるのはたやすかった。

オートロックのついたマンションの1室だ。

広さは約30㎡

他の部屋で事務所も多くあったが、普通の居住者もいるマンションだった為、なんとお風呂もついている。

会社でお風呂・・・?

僕には重要だった。

なぜかというと、本当はいけないことなので詳しい説明は省略するが、僕はステ看命の男だ。

夏は汗まみれになる。

しかも僕は不動産を売るために合宿的な事をするのが好きだ。

泊まり込みもするだろう。

5階の角部屋で見晴らしも良いのだ。

しかも家賃は108,000円/月

 

僕は速攻でここに決めたのだ。

実はここを借りるにも色々あったのだが、読む人の役に立つ情報ではないので省略します。

とにかく何をするにも自分だけのドラマがあって、毎日楽しくてしょうがないと思います。

 

そしてこの部屋を借りる初期費用が約75万円

 

75万円・・・。

 

75万円・・・。

 

75万円・・・。

 

75万円・・・!

 

家賃10,8000円なのに・・・。

「あれれ・・・。」

 

しつこいようだが僕は売買しかやった事がないとはいえ不動産屋だ。

「40万円くらいじゃないでしょうか・・・。」

と、思っていた。

事務所として借りるには色々あるらしい。

最初にクリーニング代、敷金プラス1ヶ月分、たばこ吸うからクロス交換代。

 

 

いきなり25万円の予算オーバーをしてしまった。

 

 

「ま、いっか!」

 

 

僕は話を進めた。

 

会社の場所が決まったら次は会社登記だ!

 

名前はもう決めていた。

最初は「にこにこ不動産」に本気でしようと思っていたが、まわりからの大反対でさすがやめた。

結局それなりにかっこいいネーミングにしてしまった。

 

知り合いの司法書士に頼んで会社登記をお願いした。

この時に資本金の金額を個人口座に入金して、その写しが必要だ。

僕は資本金300万円にしたので、事務所代を支払う前に入金して写しを取っていた。

本当に300万円しかなかったのだ。

ちなみに生活は、この時はまだ会社員なのでそこそこ良い給料だったのでまかなえていた。

会社登記費用は最初から聞いていたので25万円でやってもらった。

予定通りだ。

 

次は設備等。

 

デスク、コピー機、電話機、接客テーブル、イス、パソコン

 

最初はこんなもんかな・・・。

出来る限りリサイクル品で安くあげようと思っていた。

リサイクルショップを回りまくって、デスク、接客テーブルセットなど本当に気に入ったものを安く手に入れた。

コピー機(複合機)と電話機はレンタルにした。

リースを考えたが、設立したての会社への審査は厳しく落ちてしまったのだ。

コピー機と電話機2台で毎月基本料18000円

ちなみにコピー機は白黒1枚17円でカラー1枚40円

 

今考えると信じられないくらい高かった。

でも選択肢はなかった。

これもこれで後に悲劇を生むのだった。

コピー機の料金150000円/月・・・。

 

とりあえず設備なども揃えたが、なんか事務所が閑散としている。

それはそうと鼻をかもうにもティッシュペーパーもない。

トイレットペーパーも。

僕は必要と思われるものの買い出しに走るのだった。

 

新しい事務所だと思うと嬉しくてあれよあれよと買ってしまう。

棚とか、植物とか新しい文房具やらカレンダー、自分一人しかいないのになぜか行動予定表を書くホワイトボードetc

僕は結局設備費用等に50万円はかけてしまった。

 

なんとこの時点で残金で予備費で考えていた部分をオーバーしてしまったのだ。

 

 

残金150万円

 

 

不動産免許を取得するのに約160万円

 

 

10万円赤字・・・。

 

いきなり僕はやらかしてしまったのだった。

しかし独立を決めた男のハートは強いものだ。

この時の僕の心境は

 

 

「ま、いっか!」

 

 

だったのでした。