会社を倒産させるという事

35歳で会社を倒産させた壮絶な日々を赤裸々に綴ります。

3.倒産準備

前回書いたように、僕は最後の勝負に負けたので潔く会社を倒産させる準備にはいる事にした。

 

とはいえ、何から手を付けていいのかわからない。。。

この時実は在庫が2件あり、既にお客様とご契約をしていた。

この2件の土地だけは無事にお引渡しをしてあげたい。。。

手付金ももらってしまっているので。。。

そんな事もあり、すぐには行動に移せなかった。

 

情報収集をしよう。

今まで「倒産」という事実は頭をよぎりながらも、考えたくなかったので詳しい事は知らなかった。

とはいえ、同業者の社長さん達ともよく交流させていただいていたので、過去に倒産している社長さん達も実は少なくない。

悩んでいる暇はなかった。

僕はすぐに相談しに大先輩の会社を訪ねた。

 

「実は会社をたたもうと思っているんです。」

その会社の社長は驚きもせずに相談にのってくれた。

「うまく倒産したほうがいいよ!この先も生きていくんだから!」

と言われたが・・・。

「うまく・・・?」

意味がわからなかった。

うまくも何もお金ないですから・・・。

なんて会話をしながら、債権者や借入のリストをつくるように言われたので、すぐに会社に戻り作り始める事にした。

社内には社員もいたが、僕は平然を装いながら粛々と作っていた。

リスト化してみると、すごく現状がわかりやすかった。

それと同時に、お世話になった人たちに支払いができないという空しさと罪悪感で押しつぶされそうになった。

 

「社長、コンビニ行きますけど何か買ってきますかー?」

そうやって僕に話しかけてきたのは事務の子だった。

「いらない」

そう答えた。

「珍しいですねー!?具合でも悪いんですかー?」

そうか、いつもはこんな時は必ずここぞとばかり色々買ってきてもらってたんだ。冷静じゃないんだな。

「あー!ごめん!からあげあるだけ買ってきて!」

こんな会話をした。

なんで覚えてるって、具体的に倒産に向かう初日に、こんな日常のたあいもない会話もなくなるんだと思うと淋しかった。

なんか泣けてきたのを覚えている。

今まで当たり前だった日常がなくなるという事を初めて意識した瞬間だった。

 

僕はリストを眺めながら対策を練った。

対策といっても、どこにいくら支払って、どこがいくら債権が残るか。

どのタイミングで債権者に会社を倒産させる事を告げるか。

正直僕には判断ができなかった。

 

そうだ、顧問弁護士に相談してみよう。

 

心強い人を思い出した。

その顧問弁護士は実は、相談した大先輩が会社を倒産させた時の弁護士だった。

この時の僕は裁判を抱えていたので、この弁護士の先生とも頻繁に連絡をとっていた。

すぐに連絡して相談がある旨を伝え、翌日のアポイントを取り付けた。

 

さぁ、いよいよだ。。。