会社を倒産させるという事

35歳で会社を倒産させた壮絶な日々を赤裸々に綴ります。

8.会社設立から倒産までの軌跡 ~悲願の初契約~

売れない。

 

車は燃えてなくなった。

 

お金もない。

 

会社設立して早4ヶ月。

僕は崖っぷちだった。

手元のお金は20万円くらい・・・。

家賃の支払いとガソリン代その他諸々で行先は既にきまっていた。

親には頼れないし僕は奮起するしかなかった。

 

人間は奮起するには起爆剤が必要だ。

 

お金なくて車燃えて会社守るだけでも十分な材料だと思うが、なんか今一つ足りなかった。

 

恋でもするか?

 

いやいや・・・。

 

そうだ本を読もう。

 

僕は名立たる著名人の本をひたすら読んだ。

僕は昔から本が好き。

映画は好きだが小説は読まない。

成功者と言われる人の自叙伝が好きなんだ。

読みながら、自分だったらどうしたか?等々考えながら読むのだが、やはり成功者と言われる人たちの考え方は勉強になる。

自分が生きてきた中では得られない知識が身に着くのだ。

本はその人のエッセンスだと思っている。

きっと自分を全力で注ぎこんで書いていると思う。

だから好きなんだ。

 

幸運にも僕のこの状況下でモロに奮起させる1冊に出会えたのだ。

 

杉本宏之氏の「1R男」だ。

 

彼は僕の2つ年上だが、スーパースターだった。

杉本氏に関しては詳しい説明は省略するが、不動産業界で最短、最年少で会社を上場させている。

 

杉本宏之wikipedia

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%89%E6%9C%AC%E5%AE%8F%E4%B9%8B

 

僕の会社とも近いというのもあるが、知り合いの知り合いのような感じでよく話にはでていた。

僕は直接会ったことはないが、業界では有名人だ。

是非一度読んでみたいと思っていた1冊だったのだ。

 

彼は業界最短で上場したとはいえ、実は会社設立から間もなく会社を諦めるかどうかのピンチに立たされている。

そんな中、そのピンチを支えたのがまわりの仲間であり、杉本氏の強い精神力と熱意だった。

 

僕は今の自分に置換え深く感動を覚えた。

 

 

「よし、やるぞ!」

 

 

全身にやる気がみなぎるのがよくわかった。

僕はなんでも一人でやろうとしすぎていた事に気付いたのだ。

 

僕には支えてくれている仲間がいるんだ。

そう思い、すぐにK取締役に会いに行った。

僕はこの会社と二人三脚になり、ともに繁栄しようと誓って独立をしたのだ。

実はこの杉本宏之氏の「1R男」をさりげなく貸してくれたのはK取締役だった。

 

 

1人で悩み、1人で戦おうとしている僕に

 

俺達はチームだ

 

お前が死ねば俺達も死ぬ

 

泣くときも喜ぶ時も一緒だ

 

と、気付かせてくれたのだ。

 

僕は今までやってきたというプライドと実績と自信を捨てた。

男と男というのは時に面白い行動をする時がある。

熱くなった時というのは、体と体でぶつかり合い、分かち合う瞬間がある。

この日、僕はK取締役にボコボコになるまで殴られた。

折れてるんじゃないかというくらいに。

そうしてK取締役と社員達と共に、「やるぞ!」と熱く誓ったのだ。

 

この日以来、僕は毎日K取締役に会いに行った。

ちなみに車はK取締役の会社が貸してくれた。

K取締役は風貌は危ない人だが、基本的に不動産が好きだ。

僕と毎日毎日夜遅くまで、時には朝まで、売っている物件の間取りについて話し合ったりしていた。

僕もK取締役もそうだが、建売会社のありきたりな何にも考えられていない間取りプランが本当に嫌いだ。

 

「ここにキッチンあったほうが奥さん嬉しいでしょ!」

 

「お風呂に大きい窓つけて、壁の高いバルコニーつけましょうよ!」

 

「トイレは折戸にして車いすでもはいりやすくするか!」

 

「売り文句はわかりやすく!高断熱なんて言っても伝わらない!」

 

「じゃあ、冬は暖かく夏は涼しい家!」

 

「それだ!」

 

こんな会話を毎日していた。

プライドを捨てた僕は、K取締役から色んな事を教わった。

見かけによらず繊細で、今までの僕にはなかったものばかりだった。

 

「お前の気持ちはお客さんに必ず伝わるから自信を持て!」

 

と、言ってくれた。

 

そうして僕は売れない4ヶ月が夢をみていたかの如く、9月は4件の契約を果たしたのだった。