会社を倒産させるという事

35歳で会社を倒産させた壮絶な日々を赤裸々に綴ります。

6.会社設立から倒産までの軌跡 ~ステ看~

僕はお金はないが、とりあえず宅建業者免許の申請をした。

申請だけだとたしか3万とか4万くらいだったと思う。

どの道2か月近く審査でかかって、そのあとに約160万円の支払いなのでそれまでにお金を作ろうと考えたのだ。

 

この時5月の話だが、生活費やガソリン代その他諸々で手元のお金は100万円を切っていた。

まだ僕は焦ってはいなかった。

しかし、自分の会社としては活動できないのにどうやって不動産を売るのかという問題はあった。

実は大きい問題だ。

 

これに関しては、人様の会社の名刺を借りて入金額の70%をもらうという約束で活動することにした。

つまりは、4000万円くらいの物件を売れば僕の手元には約170万円くらい入ってくる。

それで業者免許の問題をクリアして、晴れて自分の会社で活動する算段だ。

 

売り物は豊富にあった。

僕だけが売れるという物件で11棟もあったのだ。

単価は低かったが、それだけ売れるのも早いだろうと思っていた。

仮にすべて売ったとすると約2000万円の仲介手数料が入ってくるのだ。

しかもお客さんは僕からしか買えない物件なのだ。

 

不動産業者が一番大変なのは集客だ。

ネット社会とはいえ、そんなお金はない。

そもそも僕の会社は不動産業者としてまだ稼働していないのにネット掲載はできなかった。

 

僕はこれを書くべきか否か大変悩んだが、嘘を書いては何でもアリのつまらないブログになってしまうから書くことに決めた。

おとがめがあるのは怖いが、少数でもこれを読んで下さる方々がいるならば真実を伝えたいと思う。

 

僕には選択肢はなかった。

僕の集客方法は

 

 

ステ看だ

 

 

ご存じだろうか。

最近ではめっきり減ってしまった。

電柱に貼ってある広告の事だ。

 

○○駅徒歩○分

新築一戸建て

南道路・整形地

限定1棟

○○○○万円

 

こんなやつだ。

はっきりしておくが、これを貼るのは犯罪だ。

軽犯罪法違反になる。

やろうとしている方、やっている方は今すぐやめましょう。

時代的にそうかもしれないが、昔はこれが文化だった。

金曜日の夜になるとあらゆるところで貼っている人がいた。

土曜日などは現地販売会と合わせてビッチリ街中に貼られている。

 

しつこいようですがこれは

 

 

犯罪です!

やめましょう!

 

ちなみに今はというと、たまにみるのが人間ステ看だ。

体の前後に貼って街に立って人に声を掛けるという方法。

これは某大手不動産会社だが、実は僕も10年前からやっている。

これはすごく効果があるのだ。

あと見るのが電ビラというもの。

これは物件情報を書いた封筒の中にチラシを入れたものだ。

このアイデアを初めて実行したのは僕だと思っているが、不動産屋というのは実に面白い。

10人に1人くらいは自分が初めてやったと話しているだろう。

ちなみにこれも犯罪です。

 

 

僕はこの集客方法で反響を取る自信が人一倍ある。

街で貼ってあるステ看や電ビラを見るとガッカリする。

会社にやらされているのか、やっつけ仕事なのかわからない愛情がない貼り方なのだ。

中には貼らずに捨てている人もいる。

決められた枚数を貼れば満足して終わりという貼り方なのだ。

 

誤解のないように付け加えたい。

たしかに犯罪行為であることは否めないが、ステ看や電ビラの物件というのは

 

優良物件なのだ!

 

 

 

何年か前にテレビを見ていたら僕の知っている不動産屋の元常務がでていた。

「街でよく見かけるステ看などは、釣り物件で基本的に良くないが安いだけのような物件を書いて気になるようにしているだけだからやめたほうがいいです。」

というような事をいっていた。

その人はさんざんステ看を貼ってきた人だ。

全国ネットでどの口が言うのかと僕は呆れてしまった。

最近はSMAPの解散騒動で木村拓哉がやれ裏切り者だとかネットでまことしやかにささやかれているが、僕はステ看に育てられたこの元常務が業界を裏切るような発言をした事は残念でならなかった。

ちなみに引き合いに出してしまったが、SMAPは僕は好きだし木村拓哉も色々な想いがあるのだろうけど、国民的スターであることは間違いないので頑張ってほしいと思う。

 

言いたいのは

ステ看は

 

 

優良物件なのだ!

 

 

 

これだけはわかってほしい。

理由はいたって簡単だ。

ネットに掲載できる物件というのはなにかと規制がある。

たとえば新築一戸建ての場合は建築確認というのを取得しないと掲載できない。

ネットで掲載できない物件をいち早く発信する手段がステ看、電ビラなのだ。

 

貼り方に関してここで書くのはいかがなものかという話もあるが、どうしても言いたいので書いてみる。

見ているとせいぜい100枚貼って1本反響があるかないかという感じだろう。

ほぼないと思う。

愛情がないからだ。

 

僕は紙切れ1枚に命がかかっていた。

1枚でも無駄にできなかったのだ。

だから僕は1枚貼ったら最低1本の反響のつもりで貼っていた。

これは難しい事ではない。

毎日毎日考えてどんな原稿で、どうやって貼ったら反響が鳴るかを毎日必死に考えていた。

狙った場所を朝から晩まで見ていたりする事もあった。

 

僕が結果を一番出せた方法を一部抜粋しよう。

 

不動産を購入する人は日中働いている人が多いという前提で考える。

朝は通勤で忙しいし、急いでいる。

という事は有効なのはステ看でなく、チラシを持っていく事ができる電ビラだ。

これを各方面から駅方向に向かって歩く人に向けて貼る。

朝の6時くらいから貼っていくのだ。

朝は色んな所で掃除をしていて剥がされてしまう可能性もあるので目立ちすぎても目立たなすぎてもいけない。

不動産を探している人は、嫌でも目が行くので少ないくらいかなで丁度良い。

ポイントは駅まで向かう人が見れる方向に貼るという位置だ。

あと有効なのが喫茶店前。

 

続いて10時前までに貼っておくのが、スーパーなどの商業施設。

これは事前のリサーチが必要だが、タイムセールやバーゲンなどを調べておく必要がある。

午前中と夕方にだいたいある。

ここで反響が鳴れば即案内になる可能性が高い。

だから絶対にステ看だ。

ちなみに保育園、幼稚園も確実におさえておきたい。

貼ってある場所は自分は把握しているからだいたいの状況はわかっている。

ここで反響を入れてくる方は買い物をしていた方などが多い。

これからするのかもしれない。

荷物もあるかもしれない。

子供も一緒かもしれない。

そしてほぼ奥様だ。

電話で「物件見て頂いて家まで車でお送りしますよ~」という愛情ある一言が言えれば即案内が取れるのだ。

一番気合いを入れるタイミングだが、8時半あたりから警察が入れ替わりのタイミングで自転車乗って走っているので気をつけなくてはならない。

こんなこと書いて大丈夫なのか!

 

そして昼からはサラリーマンの昼食タイムだ。

これは書くまでもないだいろう。

本気で反響が欲しければ昼食を食べている暇はないのだ。

 

夕方まではスーパーなどは貼らない。

僕は高校を卒業してスーパーマーケットに就職していたのだが、各スーパーの時間別の来店客数などをよく見ていた。

昼過ぎなどはほぼ見込めないのだ。

 

昼食タイムが終わったら、事前に調べ上げた周辺施設に貼るのだ。

近くでマンションのモデルルームがあればそこに貼る。

一番良いのがフィットネスクラブだ。

奥様は昼過ぎにフィットネスクラブで汗を流す。

でてきた所で目に付くように。

 

そしていよいよ17時前くらいになるとスーパーが騒がしくなる。

ここはしっかり押さえなくてはならないわけだが、反響が鳴っても即案内の可能性は極めて低い。

だから僕は金曜日と土曜日だけはステ看にして、それ以外は電ビラにしていた。

 

これは間違いないと思うのだが、ステ看は即案内の可能性が高い。

記載できる内容はだいたい4行程度と情報が少ないからだ。

電ビラはチラシを取ってあとでゆっくり見ようという事になる。

 

とにもかくにも

 

情報を提供する⇒電話で話す⇒ご案内する

 

この過程の中で、一つでも過程が増えれば契約の可能性は低くなるのだ。

だからチラシをとって家で精査してほしくないのだ。

奥様だけでもいい。

見てもらって盛り上がって、その気持ちを旦那様にぶつけてほしいのだ。

世の中の奥様はステ看よりも電ビラよりも不動産を売ってくれる。

 

 

 

だから僕らも愛情をもって集客しなくてはならないのだ。