1.会社設立から倒産までの軌跡 ~「夢はあるか?」~
あらためまして、はじめまして。
会社を倒産させるという事
をお読みいただいた方、ありがとうございました。
これから書いていくブログは、会社を作って初めて社長になり紆余曲折ありながら会社をやっていった内容を書きます。
「会社を倒産させる事」を熱心に読んでいただいた方は主に、これから会社を潰そうかと考えておられる社長さんだと思いますので、このブログは読まなくてよろしいかと思います。
また、これはこれから会社を作ろうとしている方向けなので、そういう方は「会社を倒産させるという事」は読まなくてよろしいかと思います。
2009年12月某日
僕は不動産仲介会社の営業マンだった。
都内では割と名の知れた不動産会社だった。
12月と言えば世間では忘年会シーズン。
僕は、よく物件を売らせてもらっていた不動産会社の忘年会に呼ばれた。
その会社の忘年会は割と派手で、大昔大流行したグループサウンズの、ある有名グループの方が経営しているお店だった。
そこでは何でも生バンドで歌える店との事。
その日の昼位に「○○君(僕の名前)、一曲歌って盛り上げてくれ!」
と、無茶な注文をしてきたのだ。
僕は考えた。
盛り上がる曲。。。
懐かしいところで光GENJIでも歌うか。。。
いや、意表ついて君が代とか。。。
ご年配の方が多いからものまねしながら森進一にするか。。。
嫌になってきていた。
「あーーー!もう勝手にしやがれ!」
「・・・あ!」
と、ありきたりの流れで沢田研二の「勝手にしやがれ」に決まった。
仕事中ではあったが、お客様を案内すると嘘をついて家に帰り一番派手なスーツに着替えてドンキホーテに向かった。
ドンキホーテは困ったときに本当に何でもある。
ジュリー風のハットはすぐに見つかった。
そして僕は一目散にカラオケに向かった。
生バンドで大勢の中で歌うのに中途半端はやりたくなかったのだ。
カラオケにつくなり、本人映像の「勝手にしやがれ」と携帯でYouTubeを見て必死に振付を覚える。
そう、この曲は振付が重要なのだ。
僕は浜崎あゆみの「Trauma」の振付が完璧にできる男だ。
できないわけがないと言い聞かせながら。
3時間歌いこみ、振付を踊りまくって、ハット投げるタイミングも角度も完璧だ。
そして僕は忘年会に乗り込んだ!
あまりに完璧に仕上げすぎてしまって僕は緊張した。
他の会社の仲良い人たちもいたので「僕がジュリー歌って完全に空気を僕のものにしますから見ててください!」なんてオーバートークをして完璧に自分を崖っぷちに追い込んでしまった。
そろそろ生バンドが始まりそうだなという時に僕は勢いをつけるために焼酎一本を一気飲みで飲み干した。
この飲み方をするとあっという間に気持ちが高揚する。
司会の方が
「これから生バンドによる演奏をします!どなたか歌ってくれる方はいますか?」
と勢いよく場を焚き付けた。
僕はよく知っている。
こういう時は先手必勝だ。
隠していたハットを取り出し
「ジュリーの勝手にしやがれお願いします!!」
と叫んだ。
会場は「オー!」という歓喜とともに割れんばかりの拍手だった。
歌詞カードを探してくれていたが僕は
「いりませーーん!」と更に叫んだ。
なぜなら完璧だから。
さらに会場は盛り上がった。
「よし、一気に場を飲み込むぞ」
そう心で思った。
結果、完璧な出来だった。
その日以来僕はしばらくジュリーと呼ばれるのであった。
「次、どなたかいらっしゃいませんかー?」
と司会の方が呼びかけるも
「ジュリーのあとじゃ誰もいけませんよ!」
なんて声がでる始末。
完璧に僕は勝ったと思った。
さて、長い前置きはここまでとします。
問題はここからなのです。
以前から僕を気にしていた人がここにいたのです。
その人を仮にK取締役と呼びます。
僕は気にされていたのを知らなかったが、僕の事を「よく売る営業マン」として密かに調査していたとの事。
K取締役の存在は知っていたが、あまり表にはでない人なので話したことはなかった。
建売会社の取締役で裏ボスなんて言われていた。
見た目は格好もしゃべり方もヤ○ザだ。
実はこの頃の僕も、オールバックで派手なダブルのスーツ着て高級時計をして負けてはいなかった。
それも気に入られていた要因の一つのようだ。
ジュリーを歌い上げて、だんだん会場が落ち着いてきた頃だった。
「○○!(僕の名前)」
K取締役から声がかかった。
お互い存在は知っていたが、いきなり呼び捨てか・・・。
と、思った。
「ジュリーよかったよ!最高だった!」
と言ってくれたので僕も気をよくして
「光栄です!」
と答えて乾杯させて頂いた。
「ところで、○○(僕の名前)」
「・・・はい?」
酒の席で人が真面目な顔になるとろくなことがない。
なんて考えながら次の言葉を待った。
「夢はあるか?」
まさかの質問だった。
それでもこういう時は答えを選ぶべきではない。
僕はそう感じたので間髪入れず
「独立です。」
と、答えた。
K取締役は不敵な笑みを浮かべながら続けた。
「明日、会社に来い。話がある。」
これが僕の独立への第一歩だった。
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