会社を倒産させるという事

35歳で会社を倒産させた壮絶な日々を赤裸々に綴ります。

13.債権者集会(第2回)

9月4日 14:30~

とうとうまたこの日がやってきた。。。

 

2回目の債権者集会

 

前回の流れと元社員とのトラブルを考えれば、今回はきっと荒れるはずだ。

当然眠れていない。

まだまだ夏だから、ものすごく暑い日だった。

僕は今も不動産屋で現場に行くことも多いから顔は黒く焼けていた。

それがまた健康的に見えて嫌だった。

 

前回同様、弁護士の先生と裁判所のロビーで待ち合わせをした。

そしてこれも前回同様に僕は、債権者に見つからないよう時間まで隠れていた。

勝手がわかっているだけに、前回のような緊張はなかった。

今回の不安は、僕を詐欺だと訴えようとしている債権者がいること。

これに尽きた。

しかも破産管財人からは「免責不許可もありえる」と、言われている。

と、いうよりも免責不許可にするつもりくらいに言われている。

 

これを読んでいる方はご存じの方も多いだろう。

免責不許可になったら破産宣告をした意味がまるでない。

日々の取り立てからは解放されたが、負債(借金)がまるまる残るのだ。

また取り立ての日々に戻るであろう。

 

前回同様、弁護士の先生と僕は下を向いて会場に入った。

あいかわらず張りつめた空気だ。

 

「社長(僕の事)、ずいぶん痩せましたね。」

 

そう声を掛けてきたのは債権者である工務店の社長だった。

そう、僕はこの頃には破産開始決定の時よりも20kg以上痩せていたのだ。

 

「本当にこんなところに足を運ばせてしまって申し訳ありません。」

こう答えるのが精いっぱいだった。

 

そして僕と弁護士は隣り合わせで席についた。

勝手は前と同じだ。

今度は5番目だったと思う。

早く終わりたい気持ちと、始まってほしくない気持ちが交差していた。

そうしている中、時間は無残に過ぎていく。

 

例によって呼ばれたのだ。

 

「株式会社○○(僕の会社)並びに○○(僕の名前)さんの債権者の方は5番テーブルに移動して下さい。」

 

僕と弁護士は即座にテーブルに移動した。

 

1回目は債権者10人

今回は何人なんだ。。。

僕はテーブルに着くがまだ上を向けない。

何人か椅子に座る気配がしている。

 

「それでは株式会社○○(僕の会社)の2回目の債権者集会を始めます。まずは破産管財人からお願いします。」

 

裁判官の声とともに僕は顔を上にあげた。

なんと出席した債権者の人数は3人だった。

しかも僕を厳しく追及した債権者達がいない。

なぜだかわからなかった。

不思議なもので、1回目の債権者集会からこの2回目の債権者集会まで約3か月あるのだが、破産管財人と債権者とのやりとりというのは一切僕の耳にははいってこない。

建築中の現場の事もそうだ。

どうなっているのか何も情報が入ってこないのだ。

だから状況は変わっているはずだが、僕の中の状況は1回目の債権者集会のまま止まってしまっているのだ。

 

そして債権者集会の内容は、前回と同じだ。

破産管財人から会計報告書が全員に配られ、それを読み上げて説明をしている。

そして最後に

 

「債権者への配当は前回同様難しい状況です。また、未回収金に関しまして顧客と工務店が係争中となっておりますので引き続き状況を見たいと思います。以上です。」

と、締めくくった。

 

「状況を見たい・・・?」

 

「・・・?」

 

続けて裁判官が話し始めた。

「係争中という事は3か月はかかりますね?」

と、破産管財人に尋ねた。

破産管財人は「はい。」と返事をした。

 

「これで終わらないのか。。。」

僕はこれでようやく悟った。

 

ここで1人の債権者が質問をした。

先程あいさつをした工務店の社長だった。

 

「前回の時に、詐欺を疑って証拠があるって言ってた話はどうなっているんですか?」

と尋ねた。

僕も一番気になっていたところだった。

 

 

破産管財人 「あれから私のところに連絡がありません。」

 

工務店の社長 「じゃあそんなものなかったって事ですかね?」

 

破産管財人 「連絡がないので何もわかりません。」

 

工務店の社長 「わかりました。」

 

こんな会話だった。

ちなみに今回も僕は一言も話していない。

 

「次回の債権者集会は12月4日14:30からでいかがでしょうか?」

と、裁判官が声を掛けた。

全員同意したのち

「これで株式会社○○(僕の会社)の債権者集会を終了します。続きまして○○(僕の名前)さん個人の債権者集会を始めますので、債権者の方がいらっしゃれば残って頂いて、それ以外の方はご退席下さい。

と続けた。

 

今回は全員退席をして、裁判官と破産管財人、そして僕と弁護士の4名のみとなった。」

こちらも前回同様、会計報告をして既に終了している旨が破産管財人から伝えられた。

「これにて本日の債権者集会を終了します。お疲れ様でした。」

と裁判官が言って終了した。

 

最初から最後まででものの5分程度であっただろうか。

前回一番最後までテーブルに残っていたが、僕のテーブルは今回は一番早く終わった。

 

「疑いも晴れたのか。。。」

僕はそう思った。

と、同時に次回で終わりかなと希望も見えてきたのだ。

 

また次回まで3か月はかかるが、僕にとってはホッとする日となった