会社を倒産させるという事

35歳で会社を倒産させた壮絶な日々を赤裸々に綴ります。

17.債権者集会(第6回・最終回)

前回の債権者集会が終わってからというもの、裁判官の最後の言葉が気になりながら過ごしました。

と、同時に裁判官からは再度過去の会社への入出金と個人の入出金をまとめたり、お金を何に使ったか?

口座に記載されている名前の人との関係性や何の取引で契約書の有無などを徹底的にやることになりました。

 

もうこの段階で、破産の意思を示してから1年8か月ほど経過している。

長い。あまりにも長い。

それでも僕は、僕のせいで苦しませてしまった人たちを忘れてはいけないし、背負って生きていかなくてはならないのだ。

 

免責の許可が下りるかどうかはフィフティフィフティと弁護士に言われた。

万が一不許可になれば僕は2億以上の借金を払い続ける事になるのだ。

 

2015年9月3日 14:30

 

さすがに今回は緊張して最後の債権者集会を迎えた。

数にして合計6回だ。

ネットで色々調べてみても3回以上債権者集会をやった事例はない。

担当した弁護士も最長記録ですと言っておられた。

決して自慢できることではないが、この経験がいつかこれを読んでいるどこかの社長さんの励ましになってくれれば僕は嬉しく思う。

 

会場と状況はまったく同じなので割愛するが、今回は最後と思うと色々と考えることは数多くあった事はご想像いただきたい。

 

最後なので一応補足説明を先にさせて頂くと、

 

免責許可・・・簡単に言うと借金がチャラになるという事。

         ゼロから再出発する事ができるありがたい制度

 

免責不許可・・・これはお金をギャンブルであったり至福を肥やす為にお金を使ったり使途不明金が多い場合に不許可になり借金を返し続けなくてはならない。

 

ちなみに免責許可を得るための条件としては、債権者全員の納得が必要であるが、どちらかと言えば債権者の不服がなければ得られる事が多いらしい。

 

債権者というのはこれを読む方は既にご存じでおられると思うが、わかりやすく言うと、お金の貸し借りの場合は、お金を貸した人が債権者、借りた人が債務者。

払う義務を負う人が債務者で、払ってもらう権利を持つ人が債権者。

僕の場合は建築をやっていたので、建築途中で迷惑を掛けてしまったお客様がいるわけだが、実はそのお客様は僕にお金を払う立場にあるので債務者になってしまうのだ。

この辺の定義は確認できなかったので、いつか確認してみようと考えている。

 

補足説明はここまでにして長かった破産の最後を続けます。

 

破産管財人から裁判官に求められていた説明を終えると、最後に

「免責不許可事由はあるものの、免責許可相当であると判断します。」

と、裁判官に告げた。

僕はネットで見たことがあるものを思い出した。

破産管財人が免責不許可と判断したが、裁判官の裁量で免責許可となった事例を。

これがその段階かと悟った。

それと同時に、破産管財人が免責許可と判断している事を聞いて僕はものすごくホッとした。

 

それを受けて裁判官は

 

「それでは一週間程度裁判所で審理をしたのち、許可であれば通知致します。○○(僕の会社)の債権者集会を今回をもって終結致します。」

の声とともに終わりを告げた。

 

裁判所を出たあとに僕は弁護士に尋ねた。

「裁判所の審理で不許可になることはあるんですか?」と。

 

弁護士は

「ここまでくればもう大丈夫です!長い間お疲れ様でした。気持ちを切り替えて頑張ってください!」と、おっしゃってくれた。

 

弁護士の先生には本当にお世話になった。

怒られたりもしたが、最後まで諦めずに僕の味方でいてくれた。

本当に感謝している。

僕は、事務所に歩いていく先生の姿が見えなくなるまでずっと頭をさげて心の中でお礼を言っていた。

 

この日は晴れていた。

天気も心も。

空を眺めて

 

終わった。

 

そうつぶやいた。

 

 

その後、無事に平成27年9月9日付の免責許可通知が手元に届き僕の会社倒産の長い道のりが終わりを迎えたのでした。