会社を倒産させるという事

35歳で会社を倒産させた壮絶な日々を赤裸々に綴ります。

14.債権者集会(第3回)

12月4日 14:30~

 

3回目の債権者集会の日

 

僕はこの日で終わるものだと確信していた。

なんせ前回は5分たらずで終わったうえに、資産隠しの疑いも晴れているはず。

僕はどうしても年内に決着をつけたかった。

モヤモヤしたまま月日ばかりが経っているから。

1年前の今頃は一番きつかった頃だ。

そして倒産を決意している頃でもあった。

 

「もう1年たつのかぁ・・・。」

 

その日降っていた雨が債権者の涙のように思えてなんか辛かった。

 

2回目の債権者集会から3か月あったわけだが、破産管財人はおろか担当の弁護士からも1本も連絡がない。

こういう時は「便りがないのが良い便り」と、僕は思っている。

 

きっと終わる!

 

そう思って今までで1番晴れた気持ちで裁判所に入っていった。

 

例のごとく裁判所の1階ロビーで弁護士と待ち合わせをした。

しかし今回僕は債権者から隠れることはしなかった。

まわりの人を見渡して

「この人は何の用で来てるのかな?」

などと、他人の事を考える余裕もできていた。

不謹慎なのはわかっている。

でもそれくらい当時は精神的に追い詰められていたのだ。

 

今の僕はけっして仕事がうまくいっているわけではない。

この債権者集会が終わらなければ、気持ちの面で前に進めずにいた。

いいわけかもしれないけど。

 

5分前になり、僕と弁護士は会場に入った。

気持ちが違うとはいえ、3回目とはいえ、この雰囲気は嫌なものだ。

7組のテーブルで同時に始まるので、7人の悪者と、それを裁く大勢の人がいるわけだ。

異様な雰囲気で、かなり独特である。

体験したものにしかわからないかもしれない。

 

「株式会社○○(僕の会社)並びに○○(僕の名前)さんの債権者の方は5番テーブルに移動して下さい。」

 

あっという間に時間がきた。

 

今回は何人の債権者が来るのかと思っていたが、前回と同じ3人であった。

「これは間違いなく今日で終わる。」

そう確信した。

 

「それでは株式会社○○(僕の会社)の3回目の債権者集会を始めます。まずは破産管財人からお願いします。」

と、裁判官が声をかけた。

 

そして債権者集会の内容は、前回と同じだ。

破産管財人から会計報告書が全員に配られ、それを読み上げて説明をしている。

そして最後に



「債権者への配当は前回同様難しい状況です。また、未回収金に関しまして顧客と工務店が係争中となっておりますので引き続き状況を見たいと思います。以上です。」

と、締めくくった。

 

「???」

 

なんと2回目と同じではないか・・・。

なんせ上の文章は2回目のブログをペーストした。

まったく同じだったのだ。

さすがに債権者の1人も声を荒げた。

 

「これじゃ前回と同じじゃないですか!?これだけの為に呼ばれても納得できませんよ。もう少しちゃんと説明して下さい。」

と、言った。

 

いや、僕もさすがに同じ気持ちでいた。

 

そこで破産管財人は答えた。

「裁判中の事なので詳細はお答えできません。」

 

これで何も答えられなくなってしまった。

なんとも不条理な世界だなと僕は感じていた。。。

 

そして裁判官から破産管財人

「やはりまた3か月くらいはみておいたほうが良いですか?」

と尋ねた。

この質問に対し破産管財人

「はい。」

とだけ答えた。

 

「次回の債権者集会は年明けて3月5日14:30からでいかがでしょうか?」

と、裁判官が声を掛けた。

全員同意したのち

「これで株式会社○○(僕の会社)の債権者集会を終了します。続きまして○○(僕の名前)さん個人の債権者集会を始めますので、債権者の方がいらっしゃれば残って頂いて、それ以外の方はご退席下さい。

と続けた。

 

そうして、僕個人の債権者集会はものの数秒で終わり今回の債権者集会は終了してしまった。

 

「まだ続くのか・・・。」

 

裁判所を出るとまだ冷たい雨が降っていた。

その雨は債権者の怒りのごとく強くなっているように感じた。